埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科 | もやもや病

対象疾患
もやもや病

・もやもや病とは:

 もやもや病は、国の難病に指定されている疾患です。この病期の原因はわかっていませんが、多因子遺伝が疑われており、約10%に家族性が認められています。アジア、特に日本・韓国に多いことがわかっています。有病率は10万人に対して3〜10.5人とされています。
 この病気は、脳へ血流を送る一番太い内頚動脈の終末部(心臓から一番遠いところ)が狭くなったり(狭窄)つまってしまったり(閉塞)する病気です。脳への血流が不足するため、それを補うように細い血管への血流が増えたり、別の血管から血流を増やしたりして脳の血流を何とか増やそうとします(側副血行)。その結果、非常に細い血管が網の目のように入り組んで脳へ血流を送り、血管撮影の検査でこれらの細い血管が煙のようなもやもやした感じに見えるため「もやもや血管」と名付けられ、病名の由来となりました。

・症状:

 MRIの普及により無症状で見つかる場合もありますが、主に脳虚血(脳の血流が足りなくなる)を起こす場合と、脳出血を起こす場合があります。
 小児は脳虚血を起こす場合がほとんどですが、成人では約半数が脳出血を起こします。
 脳虚血の場合、脳の血流が足りない場所により症状は異なりますが、手足の麻痺やしびれ、脱力、言葉が出ず話せなくなる(失語)、けいれん、頭痛などの症状が生じます。血流の不足が一時的であれば症状も改善しますが(一過性脳虚血発作:TIA)、血流の不足がひどい場合には脳梗塞となり後遺症を残してしまいます。
 これらの症状は、過呼吸運動(吹奏楽器を吹く、熱いものを吹き冷ましながら食べる、声をあげて泣く:啼泣、激しい運動など)により誘発されることがあり注意が必要です。
 脳出血を起こす場合、もやもや血管が血流の負担に耐えられずに破れて起こります。出血の大きさや場所により症状は様々ですが、突然の頭痛や意識障害、手足の麻痺を起こします。一般的に脳梗塞の場合より重篤になり、命に関わる場合があります。

・診断:

 頭部MRI(血管を観るMRA)にて診断はつきますが、現在の頭蓋内の状態を把握するために血管造影検査は必要であり、治療適応を判断するために血流検査を行う必要があります。

・治療:

 この病気に対しての根治的な治療はありませんが、脳虚血を予防するために外科的治療を行います。外科的治療は、脳の血流を増やすためにバイパス術を行います。バイパス術には直接バイパス術と間接バイパス術の二通りの方法があり、直接バイパス術は頭皮の血管と脳の表面にある脳血管とを縫い合わせる(吻合)手術です。それぞれの血管は直径約1mm以下と非常に細く、顕微鏡を使用した細かい技術が必要です。間接バイパス術は筋肉や硬膜などの血流が豊富な組織を脳の表面に置き、密着させる事で、長期的に脳の血流を増やしますが、年齢により効果も異なり、個人差もあります。
 脳出血に対しては、近年になり再出血を予防する効果があることがわかりました。脳虚血の場合と同様にバイパス術を行いますが、これはバイパス術により新たな血流を作ることで、もやもや血管への血流の負担が減るためと言われています。
 これらの外科的手術により、将来的な脳梗塞や再出血の発症リスクが有意に減少することが証明されております。
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