埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科 | 頭蓋外血管狭窄

対象疾患
頭蓋外血管狭窄

・頭蓋外血管狭窄症とは:

 頭蓋内に入る血管は大きくわけて4本ありますが、それらは心臓から大動脈として全身に血液を巡らせる際に大動脈弓と言われる部分から頭部に向けて分岐しております。それらの血管の起始部もしくは頭蓋骨の中に入るまでの事を頭蓋外血管と呼んでおりその血管が細くなっている事を頭蓋外血管狭窄と呼びます。代表例としては、頚動脈狭窄症、椎骨動脈狭窄症、鎖骨下動脈狭窄症等が挙げられますが、頸動脈狭窄症は最も頻度が多く、治療法も異なってくるので別項にて説明致します。

・鎖骨下動脈狭窄症、椎骨動脈狭窄症とは:

 心臓から大動脈が分岐し、そこからさらに分岐する血管の中に鎖骨下動脈が存在します(両肩の下に位置します)。主に、両側の上肢(腕・手)に血液を供給しますが、頸部に位置する箇所で椎骨動脈という脳に血流を供給する重要な血管も分岐しています。鎖骨下動脈が狭窄したことが原因で症状を呈する状態を鎖骨下動脈狭窄症と呼んでいます。
 椎骨動脈は前述の鎖骨下動脈から分岐する血管で、頭蓋内へ入ると、脳を栄養する非常に重要な役割を担っています。椎骨動脈が狭窄して症状を呈する状態を椎骨動脈狭窄症と呼びます。多くの原因は動脈硬化とされています。狭窄部に生じた血栓が末梢血管に飛んで行ってしまい塞栓(血管が詰まってしまう事)を起こすことです。

・症状:

 鎖骨下動脈狭窄症の場合、無症状で経過することもありますが、狭窄の部位と程度により様々な症状を呈することになります。めまいや意識消失発作、労作時の上肢の疲労感や冷感・痺れ感などが挙げられますが、狭窄の程度が高度となると日常生活に支障をきたすことになります。また血圧を両上肢で測定すると、左右差(20mmHg以上)を生じることがあります。
 椎骨動脈狭窄症の場合、椎骨動脈や脳底動脈の支配領域の虚血症状(血流の供給が不足するための症状)が主体で、一過性の場合もありますが、脳梗塞となる時もあります。狭窄が緩徐に進行して閉塞に至る場合には、脳への血流低下が原因で症状は出現します。一過性の場合には、めまい・意識消失発作や構音障害(呂律が回りにくいなど)が出現することがありますし、脳幹部脳梗塞や小脳梗塞が生じてしまうと、言語障害・運動障害・感覚障害や遷延する意識障害などを呈します。

・検査:

 MRI(血管を観るMRA)や血管造影、超音波検査にて診断、治療法を決定致します。

・治療:

 治療の目的は、上肢の症状を改善させたり、脳幹部の脳梗塞を予防することです。治療方法としては、内服薬などによる内科的治療の効果は薄く、さらに直達手術は体への侵襲が強いので、局所麻酔下で施行可能なカテーテルを使用した血管拡張術(バルーン:風船付きのカテーテルを狭窄部で拡張させたり、金属のステントを留置したりする治療)が普及しています。

左鎖骨下動脈狭窄の一例、術前(左)、バルーン拡張時(中央)、拡張後(右)

左鎖骨下動脈狭窄の一例、術前(左)、バルーン拡張時(中央)、拡張後(右)

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