埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科 | 頸動脈狭窄・閉塞

対象疾患
頸動脈狭窄・閉塞

・頚動脈狭窄症とは:

 頚動脈狭窄症とは、頚動脈(多くは総頸動脈から内頚動脈の分岐部です)に動脈硬化に伴う粥状変化が起こることによって血管が狭くなる病気です。狭窄の程度や病変の性状によって、脳血流量の低下を来したり(血行力学性)、血液の乱流で形成された血栓や血管内腔に突出した病変(粥腫)が飛散したり(塞栓性)して脳梗塞を引き起こすことがあります。以前は欧米人に多い疾患とされてきましたが、近年、食生活の欧米化に伴い、日本においても増加傾向にあります。

・症状:

 狭窄部に血栓が生じそれが飛散する、あるいは狭窄部の粥腫が飛散し頭蓋内血管を閉塞させることで脳梗塞を発症し、閉塞血管によって意識障害や構音障害、失語症、視力障害、半身麻痺、感覚障害など様々な症状を起こします。症状が24時間以内に消失することもあり、これを一過性脳虚血発作といいますが、脳梗塞の前兆として注意が必要です。
 脳血流量の低下によっても同様の症状を呈しますが、立ちくらみや揺れるようなめまいを自覚することもあります。

・診断:

 頸部血管エコー、頭部MRI(血管を観るMRA)、頚部MRI, MRA、造影CT、脳血管撮影および脳血流検査(SPECT)などが挙げられます。脳血流SPECTでは脳血流量を評価するのに対し、その他の検査では脳梗塞の部位や広がり、頸部頸動脈の狭窄度や性状、狭窄部の解剖学的位置などを評価します。
 症候性か無症候性か、また狭窄度で分類します。症候性とは頚動脈狭窄症が原因で脳梗塞や一過性脳虚血発作などを起こした場合をいい、無症候性とはそれによる症状がなく脳ドックなどで偶然発見された場合をいいます。血管の狭窄度はいくつかの測定法がありますが、NASCETという大規模臨床試験での測定法が一般的に用いられます。30~49%までを軽度、50~69%までを中等度、70%以上を高度狭窄といいます。

・治療:

 頚動脈狭窄症は内科的治療が主体となります。具体的には高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のコントロール、抗血小板剤(血液をサラサラにする薬)投与です。最良の内科的治療を行った上で、症候性・無症候性、狭窄度に応じて外科的治療を追加することによって、脳梗塞(再発)予防効果が高まるといわれています。
 外科的治療には頚動脈血栓内膜剥離術(英語の頭文字を取ってCEAといいます)、カテーテル治療の一つである頚動脈ステント留置術(英語の頭文字を取ってCASといいます)の2つがあります。それぞれの特性を十分に理解した上で、狭窄度や病変の性状、解剖学的位置、基礎疾患などを鑑みて選択することが大切です。

・頚動脈閉塞症とは:

 上述の頚動脈狭窄症がさらに進行して慢性的に閉塞した状態をいいます。頚動脈が閉塞していたとしても、無症状で、かつ側副血行路が十分に発達していれば(別の血管から十分に血液が供給されていれば)治療の必要性はありませんが、一過性脳虚血発作を繰り返す、あるいは血行力学的に脳血流量が低下している場合には、外科的治療によって脳梗塞を予防できる可能性があります。この場合、閉塞した血管を開くことはできませんので、頭蓋外血管から頭蓋内血管に血液を送る、頭蓋外−頭蓋内バイパス術を行うことになります。

治療適応、方法を決める上で、また治療効果を評価する上で重要な脳血流検査:左列が安静時脳血流術前(上:左大脳半球で低下…濃い青が多い)、術後(下:血流の改善)、右列が負荷時脳血流術前(上:血管予備能低下…赤-黄が少ない)、術後(下:赤-黄が増えてきた)

治療適応、方法を決める上で、また治療効果を評価する上で重要な脳血流検査:左列が安静時脳血流術前(上:左大脳半球で低下…濃い青が多い)、術後(下:血流の改善)、右列が負荷時脳血流術前(上:血管予備能低下…赤-黄が少ない)、術後(下:赤-黄が増えてきた)


左治療前、右治療後(この患者はCASにて治療御):狭窄部の改善を認める

左治療前、右治療後(この患者はCASにて治療御):狭窄部の改善を認める

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